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親が認知症になったら不動産売却ができない?成年後見制度についても解説

親が認知症になったら不動産売却ができない?成年後見制度についても解説

この記事のハイライト
●親が認知症になり意思能力がないと判断された場合は、不動産売却をおこなうことができない
●親族のあいだで不動産売却についてしっかりと話し合うことが大切
●認知症の症状が重い場合は、成年後見制度を利用することで不動産を売却できる

「親が病気になり入院することになった」「介護が必要になった」といった場合に、親が所有する不動産を売却してその費用に充てたいとご検討されるケースは少なくありません。
しかし親が認知症になった場合、「子どもである自分が代わりに取引することは可能なのだろうか」と不安な方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、認知症になった親の不動産を売却する際に起こり得るトラブルや、知っておきたい「成年後見制度」について解説します。
調布市を中心に、東京都近郊で認知症の親が所有する不動産の売却に関してお悩みの方は、ぜひご参考にしてください。

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親が認知症になると不動産売却をおこなうことができない!

親が認知症になると不動産売却をおこなうことができない!

まずは、認知症の方が不動産売却をおこなうことが可能かどうかについてご説明します。
そもそも不動産売買は、売主と買主の双方の意思によっておこなわれる法律行為の1つです。
そして、「意思能力」がない方がおこなった法律行為は、「無効」になります。
つまり、認知症で意思能力がない状態の方は、不動産売却をおこなうことができないのです。

不動産売却が可能かどうかは意思能力の有無がポイント

意思能力とは、自分のおこなったことによってどのような結果になるのかを理解できる能力のことです。
認知症の症状はさまざまで、症状の程度によって意思能力の有無が異なります。
意思能力がある
認知症の疑いがあっても、意思確認をおこなった際の状況によっては、本人の意思で不動産売却をおこなえる場合があります。
たとえば、物忘れをすることはあっても、不動産取引についてしっかりと理解していると判断された場合は、不動産売却は有効であると認められる可能性があります。
意思能力がない
一方、重度の認知症により意思能力がないと判断された場合は、親族が立ち会ったとしても不動産売却をおこなうことはでません。
「子どもが代理で取引すれば良いのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、代理人が不動産売却をおこなえるのは、あくまで所有者に意思能力がある場合に限られます。
なぜなら、意思能力がない状態で代理人を選ぶことはできないと判断されるからです。
したがって、重度の認知症になってしまった場合は、親族であっても代わりに不動産売却をおこなうことはできません。

軽度の認知症であれば代理人による取引が可能

所有者が入院しているなどの理由から売買契約に立ち会えなくても、認知症の症状が軽度で意思能力が十分にあると判断された場合は、子どもが代理人となって取引することが可能です。
この場合は、委任者(親)と受任者(子ども)の住所・氏名をそれぞれが自筆で記載し、実印で捺印した「委任状」を作成する必要があります。

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親が認知症になったときに不動産売却で起こり得るトラブル

親が認知症になったときに不動産売却で起こり得るトラブル

親が認知症になった場合、不動産売却について親族のあいだでトラブルになることも少なくありません。
そこでここからは、どのような問題が起こり得るのか、トラブル例を見ていきましょう。

親族が勝手に不動産を売却してしまった

前章でご説明したように、親が認知症になり意思能力がないと判断された場合は、子どもであっても不動産売却をおこなうことはできません。
とはいえ、認知症の症状には波があります。
調子がよければ契約書に署名・捺印をすることも可能です。
たとえば、「親の調子が良いときに兄弟が親の印鑑で勝手に捺印して売却してしまった」というトラブルが起こり得るのです。

介護費用に充てるための不動産売却を親族が認めない

意思能力はあっても、体力が衰えて身の回りのことを親が1人でできなくなった場合は、介護施設に入居するケースも多いでしょう。
この場合、介護施設に入居するための費用や毎月の利用料金などがかかります。
自宅で介護する場合は、介護ベッドやおむつなど、介護に必要なものを購入しなければなりません。
介護費用を捻出するために不動産売却をおこなった場合、兄弟がその方針に同意してくれるとは限らず、のちのち兄弟でトラブルになる可能性があります。
したがって、不動産売却について親族としっかり話し合って許可をもらうことが大切です。
また介護費用の領収書などを残しておくように注意しましょう。

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親が認知症になっても不動産売却ができる「成年後見制度」とは

親が認知症になっても不動産売却ができる「成年後見制度」とは

親の認知症が進み、意思能力がないと判断された場合は、「成年後見制度」を利用することで不動産売却が可能になります。
そこで最後に、成年後見制度とはなにか、その種類と概要についてご説明します。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症の方などを保護し、その方の財産を守るために国が設けた制度です。
この制度を利用すると、意思能力が十分でないと判断された方に対して、成年後見人からの支援を受けられます。
成年後見人がおこなう具体的な支援内容は、預貯金や不動産といった財産の管理や、介護サービスの契約、施設への入所手続きなど生活に必要な手続きの代行です。
成年後見制度には、「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類があります。
任意後見制度とは
認知症などによって判断力が低下する前に、あらかじめ本人が後見人を指名し、支援してほしいことを「任意後見契約」で決めておく制度です。
後見人も契約内容も本人が決められるため、本人の意思を反映しやすい制度だといえます。
法定後見制度とは
法定後見制度とは、家庭裁判所に選任された成年後見人が、本人に代わって財産管理や契約手続きなどの法律行為をおこなって支援する制度です。
すでに判断能力が低下したあとに利用する制度であるため、認知症になった親が所有する不動産を売却する際は、この「法定後見制度」を利用することになります。
法定後見制度は、認知症などの症状の重い方から順に「後見」「保佐」「補助」の3段階に分かれています。

  • 後見…判断能力がない方を保護する
  • 保佐…判断能力が著しく不十分な方を保護する
  • 補助…判断能力が不十分な方を保護する

症状が重ければ、それだけ後見人に与えられる権限も大きくなります。

成年後見人が不動産売却をおこなう際の条件

成年後見人は、被後見人に代わって不動産売却をおこなうことができます。
ただし、以下のような条件があります。
被後見人の利益になること
成年後見制度は、被後見人を保護することを目的とした制度です。
したがって、被後見人の利益になることを前提に支援をおこないます。
たとえば、「親が住んでいた自宅を売却して現金化したい」といった親族の意向があっても、それが被後見人の利益につながらなければ成年後見人の同意を得られません。
家庭裁判所の許可を得ること
被後見人が住んでいた家を売却する場合は、家庭裁判所に「居住用不動産処分許可申立書」を提出して許可を得る必要があります。
「介護費用に充てたい」「空き家の管理費用の負担が大きい」といった正当な理由がある場合は、売却を認められる可能性があります。

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まとめ

親が認知症になった場合、まだ症状が軽く意思能力があると判断されれば、親族が代理人となって不動産売却をおこなうことができます。
認知症が進んで意思能力がないと判断された場合は、成年後見制度を利用することで売却が可能です。
しかし成年後見制度を利用する際には、家庭裁判所に申立てをおこなう必要があり、専門的な知識を要します。
弊社は、調布市を中心に東京都近郊で不動産売却をサポートしております。
親が認知症になった場合の不動産売却についても専門的な知識を持つスタッフがアドバイスいたしますので、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。