賃貸管理

賃貸物件の入居者が孤独死したときの賃貸借契約や対応・リスク対策をご紹介

賃貸物件の入居者が孤独死したときの賃貸借契約や対応・リスク対策をご紹介

自分が経営・管理している賃貸物件の入居者が、孤独死してしまったらどのような対応が必要なのでしょうか。
単身で暮らしている方の孤独死は近年増加傾向にあり、賃貸物件のオーナー側にとって身近な問題となりつつあります。
そこで今回は、賃貸物件を管理している方に向けて、入居者の孤独死が起きた場合の賃貸借契約や対応方法、リスク対策についてご紹介します。

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賃貸物件の入居者が孤独死しても賃貸借契約は解約されない

賃貸物件の入居者が孤独死しても賃貸借契約は解約されない

賃貸物件の入居者が孤独死していても、賃貸借契約は解約されません。
「入居者が死亡すると、自然に解約して良いのでは?」
賃貸物件の管理をされている方のなかには、このように思っていた方も多いのではないでしょうか。
しかし、賃貸物件の入居者には「賃借権」があり、相続の対象になります。
もしも入居者が孤独死してしまっても適切な対応をおこなえるように、賃貸借契約や相続に関する民法について、きちんと理解しておくことが大切です。

「賃貸借契約」について理解を深めよう

賃貸借契約とは、対象者の一方が物の利用と収益を相手側にさせること、相手側が家賃の支払うことを取り決めることによって有効となる契約のことです。
賃貸借契約には、契約終了時に双方の取り決めを解消する(権利の返還の約束)内容も含まれています。
民放601条によって定められている法的な有効性をもつ契約です。
賃貸借契約は入居者が賃貸物件を借りるタイミングで管理者と契約を結ぶケースが多く、契約において発生する権利を「賃借権」と言います。
つまり、賃貸借契約の締結によって、入居者は家賃を支払う代わりに賃貸物件を使用する「賃借権」を手に入れるということです。

賃借権は入居者のみに適応される権利ではない

賃貸借契約におけるポイントは「賃借権」の範囲です。
賃借権は、契約した本人のみに適応される権利ではありません。
賃貸借契約における相手方、つまり賃貸物件の入居者が孤独死した場合、相続の対象になります。
そのため、賃貸物件の管理者は相続人がいるのかどうかを確認し、賃貸借契約に関する情報を伝えなければいけません。
入居者の孤独死が発覚したときは緊急連絡先や賃貸契約の保証人などに連絡し、相続人についての情報を得ましょう。
どこにも連絡がつかず、相続人についての情報が得られない場合は、弁護士などに依頼して調査してもらう形になります。

賃貸物件の入居者が孤独死したときの対応

賃貸物件の入居者が孤独死したときの対応

もしも、管理している賃貸物件で入居者の孤独死が起きてしまったら、管理者はどのような対応をすべきなのでしょうか。
実際に起きてしまったときに適切な対応をおこなうためにきちんと把握しておきましょう。

対応①室内の確認・警察の立ち会い
賃貸物件の入居者の孤独死は、死亡して時間が経過してから発見されることが多いです。
異臭やハエなどの虫が大量発生し、隣の部屋に住んでいる方や近隣住民の方からの連絡で発覚することも多々あります。
連絡を受けたら、管理者は保証人や緊急連絡先に電話し、親族の方と一緒に室内の確認をおこないます。
誰にも連絡がつかない場合は警察に立ち合いを依頼し、複数人で対応しましょう。

対応②入居者が残した家具などの処理
賃貸物件の入居者が孤独死し、賃貸借契約を解約することになった場合、管理者は部屋を明け渡してもらわなくてはいけません。
部屋には入居者の私物や家具、家電などの残置物がある状態のため、これらを処分する必要があります。
ここで注意したいのは、賃貸物件の管理者が判断して処分してはいけないということです。
入居者の残置物も、相続の対象となるため、処分を勝手におこなうと相続人とトラブルにつながります。
必ず相続人に依頼し、部屋に残ったすべてのものを処分してもらいましょう。

対応③入居部屋の原状回復・費用請求
管理者は相続人などの遺族に対し、孤独死した方が入居していた部屋の原状回復を依頼します。
孤独死の発見がおそかったり遺体の状態が悪かったりすると室内のダメージが大きく、特殊清掃が必要となる場合もあります。
孤独死が起きたときは、異臭などによる苦情や資産価値の低下のリスクもあるため、速やかに遺族と話し合いをおこない、室内の清掃や修繕、消臭を実施しましょう。
原状回復に関する費用の見積もりをして、遺族へ費用請求をおこないます。

対応④状況によっては損害賠償請求が可能
入居者が孤独死したことによって、管理する賃貸物件の価値が下がったり、新しい入居者が入らなかったりするなど大きな被害を受けた場合、管理者側は損害賠償請求できる可能性があります。
死亡状況やその後の遺族の対応に疑問や不満がある場合は、専門知識をもつ弁護士に相談することをおすすめします。

賃貸物件における孤独死のリスク対策

賃貸物件における孤独死のリスク対策

管理する賃貸物件の入居者が孤独死してしまった場合、さまざまなリスクがあります。
たとえば、保証人や遺族と連絡がつかず残置物がそのまま放置される、家賃未回収となるリスクです。
また、孤独死といっても「人が亡くなった部屋」であると認識され、新しい入居者が見つからないということもあるでしょう。
賃貸物件を管理するにあたり、このようなリスクに備えておくことが大切です。
ここでは、賃貸物件の管理者ができる、孤独死のりスク対策についてご紹介します。

リスク対策①賃貸保証会社を利用する
賃貸保証会社とは、万が一入居者が家賃を支払えなくなったとき、代わりに家賃を支払う保証会社です。
賃貸保証会社が入居者の保証人の役割を担っているため、家賃未回収のリスクを回避する方法として有効です。
保証人がなかなかみつからない方や、収入が不安定な方でも、保証料さえ支払えば賃貸保証を利用できるため、入居者にとっても魅力的な制度でしょう。

リスク対策②孤独死保険に加入する
賃貸物件の入居者の孤独死リスクに備えられる「孤独死保険」があります。
代表的な補償内容は以下のとおりです。

●残置物処理費用
●原状回復費用
●家賃損失

また、保険金の受取人が管理者になっており、孤独死によって発生した損失を確実に補填できます。
管理者が加入する保険のため、「保険料」を支払う必要がありますが、孤独死に関するリスクの対策となるしょう。

リスク対策③保証人の選定・連絡先を確保しておく
保証人がいない、または連絡がとれないということが起きると、孤独死発生後にスムーズな対応ができなくなります。
そのため、保証人の選定はリスク対策として非常に有効です。
たとえば、以下の対策が考えられます。

●入居者の保証人を相続人や親族限定にする
●保証人に確実に連絡がつくのか確認しておく
●保証人としての意思、安定性があるか確認しておく

保証人と連絡がつかなかったり対応してくれなかったりすると、管理者への被害がどんどん大きくなっていきます。
重要な役割である保証人の選定は入念におこなうことが大切です。

リスク対策④賃貸借契約に「終身建物賃貸借契約」を採用する
賃貸借契約には「終身建物賃貸借契約」という、入居者が亡くなることによって契約終了となるものがあります。
入居者が60歳以上である場合に結ぶことができる契約です。
通常の賃貸借契約とは違い、事前に管理者が都道府県知事の認可を受ける必要がありますが、相続人の有無を確認したり、解約手続きをしたりするなどの手間が発生しません。
契約締結時に残置物について取り決めをおこなうことで、スムーズな処理にもつながります。

まとめ

管理している賃貸物件の入居者が孤独死したときは、残置物の処理や賃貸借契約など対応すべきことが多くあります。
孤独死リスクの対策をおこない、損失を最小限におさえましょう。

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