ローン保証料や税金、火災保険料などは不動産売却時に戻ってくる可能性のあるお金です。
不動産売却におきては売却額自体が大きいため、これら費用が見落とされることが多々あります。
しかし、これら費用も数万円となることがあり、効果的な不動産売却には欠かせません。
ここでは戻ってくるお金のなかでも火災保険料について解約タイミングや手続き、計算方法をご紹介します。
不動産売却をお考えの方は、ぜひご確認ください。
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不動産売却における火災保険の解約タイミングと手続き
火災保険の解約は不動産売却の前でも後でも可能です。
しかし、火災保険の解約は適切なタイミングでおこなわないとトラブルとなってしまうかもしれません。
解約は不動産売却前後どちらでおこなうのか、どのような手続きで解約を進めていくのかを確認していきましょう。
火災保険の解約は不動産売却後におこなおう!
まず、火災保険を解約するタイミングは引き渡し後が適切です。
もし、引き渡し前に火災保険を解約してしまうと危険負担となってしまうかもしれません。
危険負担とは「契約締結後から引き渡しまでの間に物件に火災などの被害が生じた際、損害負担は売り手と買い手のどちらであるのか」といった問題です。
売り手からすると契約締結後に損害負担をすることは売却益を下げることにつながります。
一方で、買い手からするとまだ受け取っていないのに損害負担をすることには強い抵抗感が生じます。
実際の場面では、契約締結後から引き渡しまでの間に火災などが起こった場合、慣例的には売り手の負担となっています。
しかし、民法第534条では原則的には買い手の負担となっており、負担者が慣例と民法で異なっているのです。
ですので、危険負担の際に売り手が必ず負担するとは言えませんが、売り手が負担者となる可能性は十分にあります。
安心して不動産売却を進めていくために火災保険の解約は不動産売却が終わったのちにするように意識しておきましょう。
火災保険の解約手続き
火災保険は大きく分けると以下の4つの手続きで解約を進めていきます。
手続き①質権設定の確認
契約によっては火災保険に質権(しちけん)設定がなされている場合があります。
住宅ローンにおける質権設定とは、融資金を担保として火災保険金を請求する権利です。
住宅ローンは土地や建物が担保とされ、返済が困難となった場合にはそれらを売却することで返済をします。
建物は火災などで失う可能性があるものですが、もし失ってしまった場合は売却による返済がおこなえません。
そういったことを防ぐために質権が設定されています。
そして、この質権は一番初めの契約時に交わすため、不動産売却時には設定がなされていたか忘れていることが多いです。
まずは金融機関へ質権設定の有無を問い合わせましょう。
手続き②質権の抹消
質権設定がなされている場合は抹消が必要になります。
抹消の方法ですが、まずは金融機関に抹消の旨を伝えることが必要です。
その後、金融機関から郵送によって質権消滅承認請求書が送られてきますので、その書類に必要事項を記載したのちに返送します。
金融機関が書類を受け取り、問題がなければ郵送によって保険証書や質権抹消書類が届きます。
保険証書と質権抹消書類は実際に火災保険を解約するときに必要な書類です。
このように火災保険の解約は初めに金融機関とのやり取りからおこなっていきます。
手続き③保険会社へ解約の旨を伝える
保険会社へ解約の旨を伝えたのち、郵送によって解約手続きに関する書類が届きます。
届いた書類に必要事項を記載し、質権抹消書類と一緒に郵送をすることで手続きは終了です。
手続き④返金が振り込まれる
その後、もし返金がある場合は登録している口座に返金が振り込まれます。
返金の有無は条件によって異なるものです。
次に、どのような条件のときに返金となるのかをご確認ください。
不動産売却における火災保険の解約で返金がなされる条件とは
火災保険の解約で返金があるかどうかは契約期間・内容によって異なります。
返金される条件を確認し、自分は返金を受け取ることができるのかを確認しておきましょう。
返金がなされる場合
以下のような条件に当てはまっていると解約によって返金がなされます。
●長期一括契約
●不動産売却時に残存期間が残っている
つまり、長い期間の契約であり、その期間よりも前に解約をすることが返金の条件なのです。
たとえば、火災保険が10年契約であり、8年目に解約した場合は残り2年分の返金がなされます。
ただし、長期一括契約の場合は保険料が単純に「1年あたりの保険料×契約年数」とならないことに注意が必要です。
長期一括契約の場合、支払う保険料は単年の保険料に長期係数を掛けることで求められています。
長期係数は保険会社によって異なりますが、おおよそ以下のような値で設定されることが多いです。
●保険期間2年:1.85
●保険期間4年:3.50
●保険期間6年:5.10
●保険期間8年:6.70
●保険期間10年:8.20
たとえば、1年間の保険料が1万円の場合、単純に保険料を求めると1万円×10年となり、支払額は10万円となりますよね。
しかし、長期一括契約の場合は1万円×8.20となり、8.2万円となるのです。
こちらの計算は次にご紹介する返金額の計算に用いるため覚えておきましょう。
返金額の計算方法
返金額は以下の式で求めることができます。
返金額=長期一括保険料×未経過料率
長期一括保険料は前述のとおり「1年あたりの保険料×長期係数」となるため、上式は以下のように書き換えることが可能です。
返金額=1年あたりの保険料×長期係数×未経過料率
未経過料率は返金額の計算で用いる係数であり、1か月ごとに係数が分けられています。
たとえば、年間保険料が1万円、契約期間10年、経過年月が5年6か月(未経過料率46%)のときには以下のように計算が可能です。
返金額=1万円×8.20×0.46=約3.8万円
1年あたりの保険料や経過年月は契約書類から、未経過料率は一覧表より確認をしておきましょう。
効果的な不動産売却に!火災保険の解約前に修繕をおこなおう
ここからは不動産売却のポイントとなる修繕についてご紹介します。
ここで火災保険の対象や修繕の大切さを確認することで不動産売却を効果的に進めていきましょう。
火災保険の解約前には修繕をおこなおう
建物は頑丈に建てられていますが、災害が起こった際には多少のダメージは受けてしまいます。
そして、それらダメージが引き渡し後に発覚した場合、負担者は売り手となることが一般的です。
ですので、災害などでダメージを受けた箇所は火災保険を解約する前に修繕が必要になります。
火災保険は契約によっては火災、落雷、爆発、風災、水漏れ、外部からの物体衝突など多くの災害に対応可能です。
契約書の確認や保険会社への問い合わせから保険対象を確認しておきましょう。
その際、保険対象であるダメージがあるのであれば解約前に修繕をおこなうことが適切な不動産売却につながります。
ただし、審査や修繕には時間がかかるため、できるだけ早く保険の利用を開始することが重要なことにご注意ください。
まとめ
不動産売却における火災保険の解約は引き渡し後がベストなタイミングです。
また、長期一括契約と残存期間の2つの条件を満たしていると返金についても確認が必要になります。
これらポイントを不動産売却前からしっかりと把握しておき、売却を適切に進めていきましょう。
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