「スルガ銀行の不正融資の社会的影響について」
5月15日、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」で知られる㈱スマートデイズが破産手続き開始決定を受けました。
時を同じく、5月22日、同様にシェアハウスの分譲、販売等を行っていたゴールデンゲイン㈱も破産手続き開始決定を受けております。
同じ不動産業者として、不正融資でもしないと売上を立てられないのか?実際に融資を受け、現在支払いが滞ってしまっているお客様のことを考えると、
情けなさ、憤り、怒り・・・色々な感情が生まれます。本当に心が痛みます。
弊社も賃貸不動産管理を行っておりますので、今回の問題に巻き込まれたオーナー様から、シェアハウスの管理運営をしてもらえないか?という相談が来ます。
今回は、これまでの任意売却の流れから多少脱線しますが、タイムリーな話なので、少し見解をお話したいと思います。
まず、何が問題だったのか?
①シェアハウスの事業性
⇒一部物件を除き、シェアハウスのニーズがないエリアに建築し、実際の入居者がほぼいない状態であったこと。
②サブリース契約
→上記同様、ニーズがない物件は、サブリース業者に賃料が入らず、オーナーへのサブリースを継続することが難しくなったこと。
③不正融資により、物件評価以上の融資を受けたこと
→本来、正当に評価された金額しか融資を受けなければ、多少賃料の支払いが減額されたとしても返済に問題はなかったはず。
その分自己資金を入れるか、正当な評価でフルローンが可能な物件であれば、このような事態にはなっていません。
①と②については、全ての案件に当てはまる(=成功しているサブリース契約、シェアハウスもある)わけではないので、割愛します。
問題は③です。
本当に許せないことです。
シェアハウス業者に限らず、投資用一棟マンション、一棟アパートを取り扱う不動産業者(の一部)が、このような不正融資を持ち掛けると聞きます。
※すべての収益不動産取扱業者がやっているわけではありません!
具体的には、
・売買契約書の偽造(売買金額の異なる契約書を2通作成。「本来、売主買主間で合意した金額の契約書」・「銀行提出用に売買金額を上げた虚偽の契約書」)
・自己資金額の偽造(通帳の偽造・自己資金相当分を不動産業者から貸付け、銀行用に通帳コピーした後、返金させるやり方)
・レントロールの偽造(実際に入居者は入っていないが、入っているように見せかけるやり方)
・フォトショップで、通帳の残高を改竄(預金残高の桁数を変更する)→この前ガイアの夜明けでもこの手口が紹介されていましたね。
など、全てウソで塗り固めた話を持ち掛けます。
このような提案を受けたことがある方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?
このような提案をする不動産業者から、絶対に不動産を購入しないでください!!!
必ず失敗します!
今は良くても、空室が多くなった場合、ローン返済ができずに、「任意売却」「競売」に至る可能性があります。
実際に弊社のお客様も、収益物件を購入する際に、他業者から不正融資の提案を受けたことがあるそうです。
確実に違法です。
収益物件が欲しいから、悪いことだとわかっていてもその行為に加担する、不動産業者や銀行に身を任せる・・・・
絶対にやめましょう!損するのは、あなたです。
メディアでは、悪いのは不動産業者や銀行だ!と叩いていますが、私からしたら、不正していることを知りながら黙認した顧客にも問題があると思います。
契約書を二通(本来・虚偽)作成すれば、そこには印紙を貼付しますから、顧客も不正を把握しているのではないか?と私は思うのです。
手付金や自己資金貸与だって、通帳に履歴が残りますから、普通わかりますよね?
実際に、私は不正を目の前で見たことはありませんので、あくまで一般論ですが。
それとも、顧客にわからないようにやる巧妙な手段が別にあるのでしょうか・・・・?
違法行為により仮に収益物件を買えて、その場は満足したとしても、サブリースに限らず、入居者が退去し家賃が入らなければ、ローン返済原資はありません。
しかも、本来の評価額以上にローンを組むので、毎月の返済額は、かなり高額になっていることでしょう。
1部屋空いただけで、もう逆ザヤになり、ローン支払いの為には、手持ち資金を入れなくてはいけない、という状況も考えられます。
「金の切れ目が縁の切れ目」
上記のような状態になったとき、確実にあなたは、不動産業者と銀行を恨むでしょう。
あれだけ購入時は、感謝していても、です。
そして、買わなければよかった・・・と後悔するはずです。
そうなってからでは、時すでに遅しです。
何度も言いますが、本来の評価額以上にローンを組んでいる為、将来売却しようと思っても、ローン金額以上の金額で売却することは、まず出来ません。
銀行は貸し倒れリスクを減らす為、かなりストレスをかけて審査をし、仮にリストラされても、返済原資が減っても、十分返済可能なレベルまでしかローンは出しません。
つまり、背伸びをしてローンを組む(組まされる)と、
「売りたくても売れない」
「毎月ローン返済の為に、自己資金を入れ続けなくてはいけない」
「入居者が退去すれば、修繕費用は全て自己資金投入(共用部修繕も同様)」
という悪循環になります。脱出したくても出来ない、負のスパイラルです。